アダストリアでは「環境を守る」「人を輝かせる」「地域と成長する」という3つの重点テーマを軸に、ファッションロスや人権問題、教育など、さまざまな分野のサステナビリティ活動に取り組んでいます。

2021年2月16日に開催した「ステークホルダーダイアログ」では、アダストリアのサステナビリティ活動をステークホルダーのみなさまへご紹介すると共に、今後のアクションへとつながるご意見を多数いただきました。このページでは、当日の様子を詳しくリポートします。

多様な専門性を持つゲストが集結した、
第1回「ステークホルダーダイアログ」。

今回の司会を務めるのは、アダストリアの経営企画室でサステナビリティを担当する藤本。まずは、ステークホルダーのみなさまの自己紹介からスタートです。

藤本:本日はお集まりいただきありがとうございます。さっそくですが、お一人ずつ自己紹介をお願いします!

岡野:環境省の岡野 隆宏です。僕は昔から自然が好きで、趣味で山登りをしたりしています。中でも国立公園の美しい自然が好きでして、この景色を守りたいという想いで環境省に入りました。現在は自然環境局 自然環境整備課 温泉地保護利用推進室の室長と「ファッションと環境」というタスクフォースのリーダーを兼任しています。

竹村:ファッションスタイリストの竹村 伊央です。一般社団法人「unisteps」で共同代表理事を、「Fashion Revolution」で日本支部局長をしています。私は、学生時代に留学したロンドンでアップサイクルブランドやエシカルファッションに出会い、勉強を始めました。当時は今ほど認知もなく、もっと多くの人にこの考えを知ってもらいたいと、さまざまな活動をしています。

滝沢:「マシンガンズ」というコンビ名で芸人をしながら、ゴミ清掃員として働く滝沢 秀一です。ゴミ清掃員になってもう約8年になりますね。ゴミって、意外と侮るなかれでして。集積所に集まるゴミは、時代をすごく反映していると思うんです。今日はそこで感じたことなどをお話しできればと思います。

福屋:株式会社ウィファブリックの代表取締役社長、福屋 剛です。大学卒業後に入社した商社で大量生産・大量廃棄の現場を目の当たりにし、この問題を解決しようと会社を立ち上げました。現在はアパレル在庫の卸売り・仕入れサイト「SMASELL(スマセル)」などのサービスを通じて、ファッション業界の廃棄ロスをなくす活動をしています。

松﨑:アダストリアの松﨑 あさこです。数社のプレスを担当してきましたが、「キャンペーン毎に何店舗分もの広告をつくり、期間が終わればすべて破棄する」そんな広告の在り方にずっと疑問を抱いていました。現在はアダストリア・イノベーションラボに所属し、事業を通じてサステナブル活動に従事しています。

アダストリアが考えるサステナビリティとは。
その想いや取り組みをみなさまへ。

続いて、藤本よりアダストリアの事業全体に関する説明と、どんな想いでサステナビリティ活動を行っているのか、実際にどんな取り組みを実施しているのかについて紹介していきます。

藤本:アダストリアのサステナビリティ活動と言えば、以前は寄付活動や職場体験の受け入れといった社会貢献活動がメインでした。しかし、これからは事業そのものを通じて社会課題を解決する必要があると、2020年にサステナビリティの考え方を一新。「ファッションのワクワクを、未来まで。」をメッセージに掲げ、ファッション事業をより持続可能なものにするための活動をしています。

藤本:本日は、私たちが目指すビジョンのひとつ「ファッションロスのない世界」に対する取り組みについてご紹介します。ファッションロスとは、まだ着られるのに捨てられてしまう衣料品などのこと。売れ残った食品や期限切れの食品など、本来は食べることができた食品が廃棄される食品ロスと同様に、ファッション業界にもさまざまな廃棄問題が存在します。その解決策の第一歩として、アダストリアでは衣料品在庫の焼却処分をなくしました。また、商品の過度な値下げや福袋の販売を業界内でいち早く廃止。適正な量の商品を生産し、残った場合は翌年にアウトレット店舗などで販売しています。それでもなお、残ったものは協業先に依頼してリサイクルやリユースに回しています。

藤本:アダストリアでは、「適時・適価・適量」を方針に在庫を管理しています。売れ残った商品の活用法を考えることはもちろんですが、そもそも在庫を大量に抱えていてはファッションロスをなくすことはできないからです。「適時・適価・適量」を実現するために、まず、商品の在庫数量と売れ行きのシミュレーションを商品ごとに管理し、より精度の高い発注数を目指しています。また、アダストリアのブランドアイテムを扱うECサイト「.st(ドットエスティ)」で発注前の商品をお客さまへ提示。その予約状況を参考に発注数量を決定するなどして適量生産に努めています。

岡野:とてもいい取り組みですね。環境省でもファッション業界の大量生産・大量消費・大量廃棄は問題視していますが、発注の段階に目を向けているのはすごく大事だと思いました。実際にお客さまの意見を聞くことがコミュニケーションにもなっていますし、そういったプロセスを経ることで、購入する側もより大切に服を着るようになるでしょうね。そもそもの生産量を減らすことはもちろん、結果的に捨てられる衣料品の量も減らせていると思います。

藤本:ありがとうございます!また、売れ残った衣料品の活用の仕方もさまざまあります。その一例が、熊本県を中心に九州や中部地方などで発生した令和2年7月豪雨。当時、アダストリアから1万点以上の在庫商品を被災地へと届けさせていただきました。さまざまな活動を通じてファッションロスのない世界を目指しています。

アップサイクルやシェアリングを通じて、
お客さまを巻き込んだサステナビリティを。

藤本の説明にうなずいたり、関心を示してくださったりするステークホルダーのみなさま。ここからは、アダストリア・イノベーションラボに所属し、「FROMSTOCK(フロムストック)」や「KIDSROBE(キッズローブ)」を担当する松﨑がそれぞれのサービスについて説明していきます。

松﨑:「FROMSTOCK」は、捨てられる運命にあった倉庫の服を蘇らせるアップサイクリングブランド。売れ残った商品の他、サンプル品などを黒く染め直して商品化しています。すべての商品が黒染めできるわけではなく、素材によって向き・不向きはありますね。例えば、染料染めではポリエステルやナイロン生地は黒く染まりませんし、ひとくちに「黒」と言っても、商品によって染めた後の色合いが微妙に異なるんです。元のデザインがうっすらと残っていたり、元の生地の色みによって黒の出方が微妙に違ったりします。

竹村:面白いですね。服を黒く染めるサービスは既に存在しますが、「FROMSTOCK」は「キレイに黒染めする」よりも「染めることを楽しむ」ニュアンスが大きいように感じました。また、ポリエステルが染まりづらいといった生地の特徴は、一般的にあまり知られていないですよね。そういった一着、一着の違いをより楽しめるような仕組みがあってもいいんじゃないでしょうか。「黒の服を買う」というよりは、「染められた服を選ぶ楽しさ」だとか「染まりきらなかった状態の面白さ」といった点をもっとうまく伝えられれば、お客さまも服に対してより愛着が持てそうだなと感じました。

「捨てる」「リサイクル」は面倒……?
気軽で気楽なサステナビリティを実現するために。

松﨑:私は「KIDSROBE」というサービスも担当しています。これは、サイズアウトして着られなくなった子ども服と、別の会員さまが譲ってくださった子ども服を譲り合いできるシェアリングプラットフォーム。子ども服は成長の思い出が詰まっているので捨てることに感傷的になってしまいますし、捨てるという行為にエネルギーも必要で、ママたちにとってはそれがストレスなんですよね。その負担を少しでも軽減できればという想いから立ち上がったサービスです。タグなどに書かれたお名前の跡などは、私たち企業側でキレイに処理する仕組みも取り入れています。

滝沢:捨てるストレスを、アダストリアが引き受けてくれるということですね!衣料品の処分方法として、以前から古布回収というものはありますが、回収後にどう再利用するかが課題になっているんです。全体の3割程度は東南アジアなど海外地域に送ることで再利用されていましたが、コロナ禍の今、輸送が自由にできず困っている話も耳にします。その中で、「KIDSROBE」のようなサービスがあるのはいいですね。

竹村:衣料品は何ゴミとして出されることが多いんですか?

滝沢:いちばん多いのは可燃ゴミです。古布回収は雨の日には出せない地域や、自分たちで回収場所まで持っていかなければいけない地域などもあり、出すのに結構手間がかかってしまうんですよ。

竹村:確かに、「面倒くさいから捨てる」ということはありそうですね。

滝沢:しかも、数回しか袖を通していないであろうキレイな服がゴミとして出されていることが多いんです。ゴミ回収を続ける中で、内心ずっと「ファッション業界はいずれ真剣に廃棄問題について考えなければいけないだろう」と感じていました。おまけに今は、せっかく回収してもその服を活用する出口が少ない状態。服を捨てる以外の選択肢を増やし、回収後の活用方法を生み出していけば、ファッション業界はもっと愛される業界になるのではないかと思います。

岡野:環境省のアンケート調査によると、「サステナブルがどういったものなのかきちんと伝えて欲しい」「もっと衣料品の回収をしやすくしてほしい」という意見を持つ方が多くいらっしゃることがわかっています。やはり、「持って行く場所がわからない」や「回収してくれるところがない」という状態は、解決すべきですね。

藤本:服をもっと気軽に、気楽に回収できる仕組みづくりが大切ということですね。アダストリアでは、不要になった衣料品を回収する「Play Cycle!」という取り組みがあります。アダストリア以外のアイテムも含め、集まった衣料品は累計20トン以上。これまでは期間限定での回収がメインでしたが、最近は一部店舗で常時回収を実施するなど、その輪を広げています。

滝沢:アダストリア以外の衣料品も回収してもらえるんですか!

藤本:そうなんです。滝沢さんのお話を聞いていると、私たちがすでに始めているサービスや取り組みを活用すれば、もっといろいろなことができそうだなと感じました。

滝沢:そうですね、リサイクルの出口を、今よりもっと増やすことが大切だと思います。

藤本:そうですよね。ちなみに、2020年以降、コロナ禍によってファッション業界は大打撃を受けていると報道でも取り上げられています。福屋さまはさまざまなファッション企業の方からご相談を受けていると思いますが、そのあたりの変化はどう感じますか?

福屋:特に増えたのは、実店舗でのみ販売をしている企業からのご相談ですね。それから、古着などを販売する二次流通業界への打撃も大きいんですよ。現在は、一次流通の商品をオンラインで販売する仕組みやプラットフォームは確立されていますよね。でも、二次流通でそれがあるかと言うと、すぐには思い浮かばないんです。二次流通の流れが止まってしまえば一次流通にも影響が出てきますし、大きな問題だと感じますね。

ものづくりを、もっとクリアに。
それがサステナビリティの第一歩になる。

岡野:環境問題を突き詰めていくと、最も大事なのは「ものづくりに対するリスペクト」ではないかと思うんです。

滝沢:わかります。よく、Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)で「3R」と言うじゃないですか。あれにRespect(リスペクト)を加えて「4R」にすべきだと、僕はずっと思っているんです。

岡野:いいですね!私たちが当たり前に生活をできているのは、ものをつくってくれている方がいるから。その事実にもっと多くの人が敬意を抱くようになれば、「ものはあるのが当たり前。だから、簡単に捨ててしまう」という流れを断ち切れると思います。

藤本:そのためには、私たち企業側も「ものがどうやってつくられているのか」「どこから、どのように素材を調達しているのか」など、生産過程に透明性を出すことが大切ですね。

竹村:ものづくりにおける透明性は基本でもありますよね。実際に販売する商品に対してはもちろん、原材料や製造する人、そこに至るプロセスにまで透明性を担保できている企業はまだまだ少ないと感じます。だからこそ、そうした取り組みをしている企業や団体はもっと積極的に発信をしていくべきだと思うんです。

滝沢:確かにそうですね。

竹村:いろんな企業や団体が、サステナビリティやアップサイクルについて一生懸命取り組んでいるにも関わらず、あまり表に出せていないんですよ。80%はできているけど、20%はまだできていないから……というように、100%な状態じゃないと発信できない風潮が理由だと感じています。でも、例え完璧ではなくても、いいことをやっているなら積極的に発信すべきだし、そうした発信を消費者側が気軽に受け取れるプラットフォームがあるべきだと思うんですよね。企業の取り組みに対して誰でも気軽に「いいね」「すごいね」と反応できるようになれば、ものづくりに対してもっとリスペクトできるでしょうし、自分が買うものや身につけるものを今以上に大切にできるんじゃないかと思います。

ファッションロス・ゼロに向けて
できること、やれること、これからも。

みなさまとの議論が白熱する中、終了の時間を迎えた「ステークホルダーダイアログ」。「今回いただいたご意見を、今後のサステナビリティ活動に活かしていきたい」と藤本。最後に、ステークホルダーのみなさまからそれぞれメッセージをいただきました。

竹村:「FROMSTOCK」のお話は興味深かったですね。アダストリアという規模の企業がこの取り組みを実施していることにすごく意味があると思いました。これからのファッション業界は、企業が消費者へ一方的にものを売るのではなく、企業と消費者が一緒にものをつくっていく時代になると感じています。つくり方や売り方……従来のやり方を根本から変えていければ、ファッションロス問題はますます解決へ近づいていくと思います。

滝沢:僕は、SDGsの中で最も大切なのは教育だと考えています。ファッション業界の人材を育成する場でも、サステナブルに関する教育が大事になってくると思いますね。教育の段階でしっかりと学べば、若い人が成長して活躍するようになったときの価値につながるのではないでしょうか。それから、今日最も感じたのは、衣料品を捨てないためのサービスがまだまだ足りてないということ。これはもう業界全体の問題ですね。これからの時代のためにしっかりと教育を行い、並行して捨てないための方法を構築することが大事だと感じました。

福屋:以前、「SMASELL×アダストリア×モード学園」の産学連携で、サステナブルスタイル企画を実施しましたよね。アダストリアのサンプル品を教材として提供してもらい、学生に廃棄ロス問題を知ってもらうというもの。学生がサンプル品をコーディネートしたり、アップサイクルの方法を見出したりして、そこで生まれたアイテムを「SMASELL」で販売したんです。そうしたことが、ファッション業界の人材育成にもつながっていくといいですよね。また、「SMASELL」では、新品の滞留在庫や古着の再流通を通じて削減できたCO2の量を可視化していますが、他にもやれることがまだまだあるはず。その方法を模索するためにも、アダストリアともっといろんなコラボレーションがしたいですね。

岡野:アダストリアのような規模の企業が大々的に「ファッションロスのない世界」を目指して動いていることはとても素晴らしく、応援したいと思いました。みなさまと話して感じたのは、最も変えるべきなのはやはり服への向き合い方だということですね。「安かったから買ったけど、似合わないからすぐに捨ててしまった」そんな現状を変えていかなければと改めて感じました。業界全体で取り組んでいくことはもちろん、環境省でも今後ますます力を入れて努力していきますので、よろしくお願いします。

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Play fashion!